<報告書発行の経緯と目的>
2009年10月23日に西松建設と中国人当事者との間で交わされた和解条項に基づき、その条項を誠実に履行するための主体として、西松安野友好基金運営委員会が設立されることとなった。同年12月に東京で開催された第1回運営委員会において、和解事業の活動を記録することが確認され、和解事業の終結時に、報告書を中国語版及び日本語版で発行することを決定した。
報告書発行の目的は、委員会の活動の過程を記録し、また安野受難者と認定された中国人当事者一人ひとりの経歴を記録として残すことにある。そしてこの和解事業の遂行が、民間レベルにおける日中友好交流の具体的な事例であることを示すことである。
報告書の発行主体は運営委員会であるが、第3回運営委員会(2011年10月)において、編集担当として、中国側から3人、日本側から2人が参加して編集委員会を構成し、互いに協力して報告書の作成にあたることが確認された。以後、編集委員会は、中国や日本で幾度か会議を開いて議論を深め、進行状況を運営委員会で報告し、また日常的には電子メールを利用して意見交換を積み重ねて、報告書の発行に至った。
<報告書の構成>
以上のような経緯と目的に基づいて、報告書は次の5部から構成される。
第1部 和解関係者および善福寺住職の挨拶。
第2部 和解の意義を理解するために、和解成立までの歴史的過程を振り返る。
第3部 和解事業の具体的な内容を報告する。加えて和解についての所感を掲載する。
第4部 受難者248人の記録を集成する。強制連行・強制労働の歴史的事実が具体的に
記された個人記録の集成は、和解事業の実現によってはじめて可能になった
ものである。
第5部 和解及び和解事業に関する新聞報道や論説などを参考資料として掲載する。
報告書は2014年10月23日発行、A4判、日本語版と中国語版それぞれ246ページの大部の冊子である。
2014年10月18日、日中両国の運営委員が出席して広島市内で『和解事業報告書』発行記者会見を行なった。この様子を共同通信がYou Tubeに配信した。